先日北海道にて、ムネアカタヒバリ15羽ほどの群れを観察する機会を得、その羽衣に個体差があっておもしろかったのでまとめてみます。
顔にピンクを多く残す個体。背中に明瞭な縦斑があり、嘴基部は黄色、三列風切が初列を覆うのが本種の特徴。地鳴きもチーといったか細い声で他種とは異なる。
こちらは頬に冬羽的な茶色味が出ている成鳥。観察時も頭の茶色が目立ち、後述する第一回冬羽とは色味の点で異なる印象を受けた。
こちらもピンク味を残すが、より薄くなっているため雌の可能性がある。
群れの体感7割ほどはこのタイプだった。顔にピンク味は全くなく、眉斑、頬、頸部、腹部にかけて黄色味が強い。日の光を受けて金色に見える個体もいた。第一回冬羽と考えている。
こちらもピンク味は全くないが、一つ上の個体と比較して黄色味は薄く、眉斑や喉にかけての白味が強い。群れの中で目立ち遠目ではセジロタヒバリも疑った個体。
【類似種との識別】
以下ではムネアカ第一回冬羽との識別について記します。
タヒバリ、ビンズイとの識別...(両種は)背中の縦斑が濃くない。ムネアカ以外にも、セジロ、マキバ、ウスベニ、ヨロビンなど珍鳥と呼ばれるタヒバリ類は総じて背中が濃いので、背の縦斑が濃ければとりあえずちゃんと見ようということになります。
セジロタヒバリ冬羽との識別...(セジロは)背中の縦斑に白っぽい4本があり目立つが、ムネアカでもそのような個体はいる。全長は一回り小さく、嘴も若干短い。嘴基部はピンク色。初列は突出。大雨覆羽縁のバフ味は薄い傾向があるようだが、個体差もありそう。地鳴きはハクセキレイ的らしい。
マキバタヒバリ冬羽との識別...(マキバは)背中の縦斑に白味がない。眉斑は目立たない。爪が黒く、後趾の爪は直線的で長い。初列は突出。上面の緑褐色が強い。日本で聞かれた地鳴きはピピッという感じらしい。
ウスベニタヒバリ冬羽との識別...(ウスベニは)背中の縦斑に白味がない。体下面は薄紅色が差す。嘴基部は肉食?少なくとも黄色ではない。小雨覆や腋羽はレモン色であるらしい。初列はやや突出。地鳴きはタヒバリ的。
ヨーロッパビンズイとの識別...(ヨロビンは)初列が突出しない点でムネアカと同じだが、眉斑は目立たない。嘴基部はピンク色。頬に不明瞭な斑がある。腹部の縦斑は脇で針状に細まる。地鳴きはビンズイ的。